大判例

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東京高等裁判所 昭和50年(行ケ)147号 判決

一 成立に争いのない甲第二号証によれば、第一引用例には、互に短絡部により合体連結され相互位置を保持された複数のリード片の一つの先端部に半導体素子を固着し、その電極を他のリード片に連結線で接続し、それらを樹脂に浸漬して樹脂被覆を施した半導体装置が記載されていることが認められる。そして鋳型を用いてプラスチツクで素子を被覆する技術が電気部品に一般的に用いられている周知技術であることは当事者間に争いがないから、第一引用例に示されているような半導体装置について、浸漬による樹脂被覆手段を用いる代りに、鋳型を用いてプラスチツクで包被する技術を用いることは当業者の容易になしうることである。したがつて本願発明の技術思想の特徴は、このような周知技術を半導体装置に用いる場合にリード線を合体連結する橋絡細条を鋳型の一部とし鋳型を閉じるように作用させるという構成を採つたところにあるといつてさしつかえない。

ところで、成立に争いのない甲第三号証によれば、第二引用例は接触パネルに関するものであるが、必ずしも電力用に限られるものではなく、広く電子部品としても用いられ得ることが認められる。そして、第二引用例には、並置された複数の条片の一部を鋳型を用いてプラスチツクなどの絶縁材料で包被する場合、複数の条片の相互位置を保持し、かつ、条片を鋳型内に入れたとき鋳型の孔に近い二つ割り型の面の間の空間をその位置において閉塞する作用をなす橋絡片を設けて、絶縁部材が二つの割り型の間より条片の間の空間に流出するのを防止し、成型後橋絡片を条片から切断除去するという技術思想が開示されていることは、当事者間に争いがない。

そこで、本願発明と第二引用例を対比すると、両者はいずれも電子部品に関するものであり、前記の周知技術である鋳型を用いてプラスチツクで包被する技術を用いている点で軌を一にしている。してみると本願発明のように、この周知技術を半導体装置に用いる場合に、第二引用例に示されているこの周知技術に関する構成である複数条片の相互位置を保持する橋絡片に鋳型の閉塞作用をさせて被覆するという構成にもとづき、本願発明においても第一引用例と同じくリード線を合体連絡するために設けられた橋絡細条を鋳型の一部とし鋳型を閉じるように作用させるという構成を着想することに格別の困難性はないといえる。

そうすると第二引用例の技術内容が本願発明と全く異質のものであることを前提として、本願発明の前記技術思想を第二引用例から容易に着想しうるとした審決の判断を誤りであるとする原告の主張は到底採用することができない。

二 以上のとおり、本件審決には原告主張の違法はなく、その取消を求める原告の本訴請求は失当であるから棄却する。

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